善悪と世界を越えた愛

 最後はダビデ王に至る系図によって締めくくられています。そしてこの系図は、マタイ1章のイエスさまへの系図に繋がっていきます。マタイ1章の系図にも、このルツの名前が出てきます。その系図には4人の女性が登場しますが、立派な女性たちというより、イエスさまの清い血統をあらわしたいのであれば、伏せておきたくなるようないわくつきの事件に絡んでいる女性ばかりです。その中でルツは、比較的好印象を与えられる女性です。しかし、ルツ記を通して繰り返されてきた言葉は、「モアブ人ルツ」です。ダビデの系図の中に異邦人が入っています。イエスさまの系図にあえてルツの名前を載せて、異邦人の血が混ざっていることをあらわしているのです。

 聖書は決して、神さまに選ばれた清く純潔なイスラエルの歴史を記しているものではありません。むしろ、罪人や異邦人のほうが神さまの御旨を理解し、自分こそは救われると自負しているものが、神さまの愛に気づいていないことを再三示しているのです。愛されるはずのない者が愛されていく軌跡の書です。


祈り