ただ恵みによって

 《わたしの霊はなえ果て、心は胸の中で挫けます》。長い人生の途中には、こうした挫折や、落胆、苦悩を経験することもあります。すると、人間は「なぜ私だけが」とか、なかには「神も仏もあるものか」といったような、絶望感を抱く人もあります。

 そんなとき、この詩編の詩人は、これまでに神さまのなさったことを、思い起しています。それは、きょうまでに、自分が神さまからいただいたたくさんの恵み、慈しみ、導きなどです。

 あるいはまた、歴史の中にも、神さまの慈しみや導きを見ることができます。

 苦しくなると、私たちは、そんなことを忘れて、神さまをうらむこともあります。自分が何か悪いことをしたからだと、自分を責めたりします。

 けれども、神さまは、そんな心の狭いお方ではありません。私たちが、良いことをしたから、しなかったからではなく、ただ、神さまに、《あなたのまこと、恵みの御業によって、……答えてください》と祈っている詩人の祈りは、私たちの祈りに方向を示してくれているように思います。


祈り